気楽に生きたい。

鳥頭のmemo

これは誰の物語? / MAPS

東京千秋楽、お疲れ様でした!MAPS見てきました!


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「冒険家」「江戸の商人」「漫画家」の物語であり、感情の物語でした。
そして、「私は誰だ?」を考える物語でもあったような気がします。

 

感情は、見た目としては異形のもののようでいて「他の人」には見えません。
自分自身にしか見えず、その感情と常に対話することになります。
感情は「喜怒哀楽」ですが、今回は「喜」という名前を持つ者はいませんでした。
冒険家には楽しみと恐れ、江戸の商人である伊能忠敬には哀しみ、そして漫画家には怒りが付きまとっていました。
冒険家、伊能忠敬、漫画家は全員同じであり別人であり、そして感情として何らかの欠落があるという共通項があった。そして全員、「喜び」もなくなっていたんだなあと思っています。

 

1月にピカレスクセブンを観たときも思ったのですが、「お前は誰だ?」という問いを投げかけてくるのが上手いなあと思います。
感想が書けていないんですが、ピカレスクセブンでは「イエミツ」と「マクベス」が同じであり別人でありました。
人は誰しも一面しかないのではなく、多面性があります。誰かから見えているその人は、他の人からは見えない一面かもしれません。

 

冒険家には恐れが欠如しており、伊能忠敬には哀しみが欠如しており、漫画家には怒りが欠如していました。
「楽」=快楽主義者と、恐れが常に一緒に描かれていたのは楽しむことを失っていけば恐れを抱くようになる、というある種セットの感情だったからに思います。
そして、欠如しているそれらひとつひとつに気付いて解決していったときに「喜び」があったんじゃないかと。


漫画家が主軸として描かれているし、途中で「先生」とは誰なんだ?ともなるんだけれど、全ては一人の人間が見せるたくさんある中のひとつの顔にすぎないような気がします。
漫画家は、最後に名前を名乗ります。
ずっと「先生」という役割での呼び方を希望します。
希望していないにせよ、伊能忠敬以外にも名前はありません。役割の名前だけです。「船長」だったり「剣士」だったり。伊能忠敬が選ばれたのは地図にかけて、だとは思うんですけれど「自分の地図を描く」そういう役割でもあったのかもしれません。
人は生きていく中でいろいろな役割が与えられます。「学生」だったり「〇〇出身」だったり、探せば何でも。
けれど、全部を踏まえて最終的には「自分」という存在なんだなあと。

 


ピカレスクセブンとMAPSしか見てないので、この「お前は誰だ?」みたいなテーマ性が全てなのかはわからないので色々とこれから見ていけたらなあと思っています。

雑多な感想としては、南圭介さん演じる漫画家が大体振り切れててめちゃくちゃ面白かったです…!!!何度も笑った。
居酒屋店員になって途中でメニュー聞くシーンがあるんですけど、ちゃんと名札に「先生」って書いてあるんですよ。こまかい!
あと、毎回漫画家アシスタントの髪型が変わっていて、観客一同次はどんな髪型でくるのか?という期待にあふれているのが伝わってきた!(笑)
多和田秀弥さん演じる冒険家は感情の起伏が乏しくて、ちょっと怖いところもあるな~って思いました。でも、確かに恐れがなくて楽しいだけで生きてたらああなるのかもしれない。恐れもちょっとはあった方がいいんだな~って思った。
俳優さんではなく、舞台装置について触れたいんですけど、全部パズルみたいなんですよね。
パズルひとつひとつを組み合わせて机と椅子だったり、船だったりになるんですよ。事前にそういう見せ方である、みたいなのは情報として知ってはいたんですけど、見ると本当に全部がパズルみたいで!単純に、この装置動かすの難しそうだな…パズルだもんな…と考えてしまいました。慣れるまで苦労しそう…私の空間把握能力的な問題なのかな(笑)

大阪公演は22日からなので、よかったらぜひ! 

 


自分を見つめ直した先に、楽園を見つけて喜んだ。「私」は「私」だ。これは、「私」の物語。